美容室のメニューに並んでいる「パーマ」と「デジタルパーマ」。

名前は似ていますが、熱を使うかどうかによって、得意なスタイルや乾かしたときの仕上がり、施術時間が変わります。

どちらが上というものではありません。髪質となりたいスタイルに合わせて選ぶ技術です。

だから「新しそうなほう」で選ぶと、あなたの髪には合わないほうを選んでしまうことがあります。

この記事では、2つは何がどう違うのか、あなたの髪質ならどちらが候補になりやすいかを、専門用語なしで分かるようにお話しします。

普通のパーマとデジタルパーマを比較した図解

そもそもパーマって、髪の中で何をしているの?

ひとつだけ知っておくと、この後の話が全部つながります。

髪の中には、細い糸がたくさん束になって入っているとイメージしてください。そしてその糸と糸は、あちこちで手をつないでいます。

パーマがやっていることは、シンプルに3ステップです。

  1. 1剤という薬で、つないでいる手を一度ゆるめる
  2. ロッドという棒に巻いて、カールの形にする
  3. 2剤という薬で、その形のまま手をつなぎ直させる

薬でゆるめて、形をつくって、薬で固定する。

そして、ここが大事なところです。

普通のパーマもデジタルパーマも、この基本の仕組みはまったく同じです。どちらも1剤でゆるめ、ロッドで形をつけ、2剤で再び固定します。

違うのは、デジタルパーマには、その途中でロッドを温める工程が加わること。熱を利用して、乾かしたときにもカールが残りやすい状態をつくります。

1剤、ロッド、2剤とデジタルパーマの加温工程を示す図解

普通のパーマ(コールドパーマ)とは

美容室で単に「パーマ」と言われるものは、正式にはコールドパーマと呼ばれます。コールド=冷たい、つまり熱を使わないという意味です。

1剤でゆるめ、ロッドに巻き、2剤で固定する。この流れを常温のまま進めます。

仕上がりの傾向

コールドパーマは、濡れている時にウェーブがはっきりし、乾かすと少し伸びやすい傾向があります。

だから、スタイリングは「濡らして、ムースやジェルをつけて、乾かしすぎない」が基本になりやすい。濡れ感を残すのは、おしゃれのためだけでなく、カールをきれいに見せるための理にかなったやり方なんです。

デジタルパーマとは

デジタルパーマも、薬でゆるめて2剤で固定するところは同じ。

その途中で、薬剤を流したあとに専用のロッドを巻き、機械につないでロッドを温める工程が入ります。

「デジタル」って何がデジタルなの?

名前で混乱する人が多いのですが、髪がデジタル化されるわけではありません。

熱の温度を、機械がデジタルで細かく管理しているからデジタルパーマです。髪の状態に合わせて温度をコントロールする。だからこの名前がついています。

「デジタル=最新=良い」ではなく、「デジタル=温度管理」。ただそれだけの意味です。

熱を使うと、何が変わるの?

デジタルパーマでは、薬剤による反応に加えて、ロッドを温めながら水分を調整して形をつけます。

イメージとしては、洗濯物です。濡れたシャツをぐしゃっとしたまま干せば、そのシワの形で乾く。ハンガーにきれいにかけて乾かせば、その形で乾く。乾いていく時の形が、そのまま残るんですよね。

デジタルパーマは、この「乾いていく時」をロッドの上でつくっている。だから、乾かしたときにもウェーブが崩れにくく、自宅でカールを再現しやすい傾向があります。

朝、ドライヤーで乾かすだけでカールが出てくれる。手ぐしで乾かして、オイルをなじませて終わり、という日が作りやすい。

「パーマは濡らしてセットしなきゃいけないから面倒」と思っていた人が、デジタルパーマを選ぶ理由がここにあります。

濡れた時・乾いた時、どう違う?

ここが一番の実用的な違いです。

コールドパーマは、濡れている時にウェーブがはっきりし、乾かすと少し伸びやすい傾向があります。

デジタルパーマは、乾かした後もカールが残りやすく、指に巻きつけながら乾かすことで形を再現しやすいのが特徴です。

ただし、どちらも濡れ方や乾かし方、カットによってカールの見え方は変わります。「デジタルパーマは濡らしちゃダメ」という話ではありません。

コールドパーマとデジタルパーマの濡れた時と乾いた時の違い

じゃあ、持ちはどっちがいいの?

一般的には、デジタルパーマのほうが長持ちしやすい傾向があるとされています。

目安として、コールドパーマは2〜3ヶ月ほど、デジタルパーマは3〜6ヶ月ほどとよく言われます。

ただし、この数字は幅を持って受け取ってください。持ちは技術の種類だけで決まるものではなく、髪質、髪の傷み具合、髪の長さ、カールの強さ、そして家でのケアで大きく変わります。

特に大きいのが長さです。パーマは毛先ほど動きが大きいので、髪が伸びればカールの位置が下がってきますし、ロングでカールの重みがかかれば、その分だれるのも早くなります。

「デジタルパーマなら半年もつ」という話ではなく、同じ条件ならデジタルのほうが持ちやすい傾向がある、という理解が正確です。

髪への負担は、どっちが大きい?

「どっちが大きい」で答えると、大事なところを取りこぼします。負担のかかり方が違うからです。

コールドパーマは、薬剤の負担が中心です。熱を入れないぶん、熱による負担はありません。

デジタルパーマは、薬剤の負担に加えて、熱の負担が上乗せされます。

熱の負担は、薬の負担とは種類が違います。イメージとしては、卵です。

生卵は、割ればまだ元の状態に近いですよね。でも一度焼いてしまったら、二度と生には戻りません。熱を入れすぎると、元に戻らない変化になる。この点は薬の負担と性質が違います。

だから、デジタルパーマは温度管理が命なんです。デジタルという名前がわざわざ温度管理を指しているのは、それだけそこが勝負どころだからです。

コールドパーマとデジタルパーマの負担の違いを示す図解

施術時間と料金はどう違う?

一般的には、デジタルパーマのほうが施術時間も料金も高くなりやすい傾向があります。

コールドパーマはロッドを巻いて薬剤を反応させますが、デジタルパーマでは、薬剤を流した後に専用ロッドを巻き、機械につないで温度を管理する工程が加わるためです。工程が一つ増えれば、時間もかかります。

ただし、実際の時間と料金は、髪の長さ、カットやトリートメントの有無、使用する薬剤、美容室によって変わります。予約前に確認しましょう。

髪質別・どちらが候補になりやすい?

ここからが本番です。ただし先にお伝えしておくと、どれも「候補になりやすい」という話で、決定ではありません。

髪が細い・柔らかい人 → コールドパーマが候補になりやすい

細い髪、柔らかい髪は、熱の影響を受けやすい傾向があります。

さっきの卵の話でいうと、細い髪は「薄焼き卵」です。同じ火にかけても、薄いほうが先に火が通ってしまう。

なので、熱を使わないコールドパーマが候補になりやすいです。

ただし、髪の太さだけでは決められません。カラーや縮毛矯正の履歴、傷み、希望するカールの形まで確認して選びます。細く柔らかい髪でも、カールがつきにくかったり、ついても重さで落ちやすかったりすることがあります。

髪が太い・硬い人 → デジタルパーマが候補になりやすい

太い髪・硬い髪は、カールがつきにくく、取れやすいという悩みを持ちがちです。こういう髪には、熱で形をつけるデジタルパーマが候補になりやすい。

ただし、髪の太さだけでは決められません。カラーや縮毛矯正の履歴、傷み、希望するカールの形まで確認して選びます。太い髪でも、カラーやブリーチを繰り返していれば、熱に耐えられるとは限りません。

直毛でパーマがすぐ取れる人 → デジタルパーマが合う場合もある

「パーマが3週間で取れました」という方。がっかりする必要はありません。かかりにくさは、髪の性質としてよくあることです。

こういう髪には、デジタルパーマが合う場合もあります。

ただし、髪の太さだけでは決められません。カラーや縮毛矯正の履歴、傷み、希望するカールの形まで確認して選びます。取れやすさの原因が、技術の種類ではなくロッドの太さやカット、スタイリング方法にあることもあります。

髪が傷んでいる・ブリーチしている人 → まず相談

ここは正直にお伝えします。

傷んだ髪、特にブリーチをしている髪は、記事の情報だけで判断できない領域です。

理由はまた卵です。傷んだ髪は、すでに半分火が通りかけている卵のようなもの。そこにさらに熱を入れれば、大きなダメージにつながるリスクがあります。かといってコールドパーマなら安心とも言えません。傷んだ髪は薬にも弱いからです。

髪の傷み具合は、写真でも文章でも判断できません。実際に髪を触って、必要なら試しの毛束で確認して、はじめて分かる領域です。美容師に相談する前提で考えてください。

くせ毛の人 → 目的による

くせ毛の方は、少し話が複雑です。

くせ毛にパーマをかけると、元のくせとパーマのカールが混ざります。

「どちらのパーマか」の前に、「そもそもパーマなのか」から相談したほうが早いです。

髪質別に候補になりやすいパーマタイプを示す図解

長さによる向き不向きはある?

あります。

デジタルパーマは、専用ロッドに巻いて熱をかける必要があるので、ある程度の長さが必要です。目安として、ボブより短いショートは、巻ける長さが足りずに難しいことがあります。

ただしこれも、美容師や使う機械によって対応できる範囲が変わります。

カラーと一緒にできる?

カラーとパーマを同じ日に行える場合もあります。

ただし、髪への負担や色落ち、パーマのかかりへの影響を考えて、別日に分けることもあります。髪の状態と使用する薬剤によって判断が変わります。

「同日は絶対ダメ」でも「いつでもOK」でもありません。相談して決める領域です。

縮毛矯正と一緒にできる?

縮毛矯正をした髪にもデジタルパーマを提案できる場合はあります。

ただし、すでに薬剤と高温アイロンの負担を受けているため、通常の髪より判断が難しい施術です。

根元のくせを縮毛矯正で伸ばし、毛先にデジタルパーマをかける「ストカール」という方法もあります。ただし、誰にでもできるわけではありません。

これらを確認したうえで判断します。「やりたい」と伝えて、できるかどうかを見てもらう。そういう順番になります。

かけ直しの目安は?

ただし、カールが取れたからかけ直す、だけで考えないほうがいいです。

パーマは、かけた部分が残ります。伸びてきた根元にはパーマがかかっていないので、時間がたつと「根元まっすぐ、毛先だけカール」というバランスになっていきます。

なので、かけ直しのタイミングは、カットのタイミングと合わせて考えるのが現実的です。伸びた部分を切って、カールの位置を整える。この流れで相談するのが一番きれいにまとまります。

パーマで失敗しやすいのはどんなケース?

パーマで失敗につながりやすいのは、技術の種類だけでなく、髪の履歴や希望するスタイルが正しく共有されていない場合です。

特に注意したいのは、次のようなケースです。

パーマは薬剤だけで決まるものではありません。カット、ロッドの太さ、巻く位置、薬剤、放置時間、乾かし方までが合って、初めて希望する形になります。

特に3つ目は多いです。コテで巻いた写真は、コテの熱で毎朝つくった形。パーマで同じ質感を出すには、そもそも設計が変わります。写真を見せるのはとても良いことですが、「これはコテの写真です」と一言添えるだけで、話が正確になります。

カット、ロッド、巻く位置、薬剤、乾かし方がカールを作る図解

家でのケアで、持ちは変わる?

変わります。しかも、けっこう。

1. パーマ当日のシャンプー

パーマ当日は、自宅でのシャンプーを控えるよう案内されることがあります。

施術直後は髪が不安定で、強く洗ったり濡れたまま寝たりすると、カールが崩れたり傷みにつながったりする可能性があるためです。

控える時間は、使用した薬剤や美容室の方針によって異なります。ネットの「24時間」より、担当美容師の説明を優先してください。

2. 乾かすときに、カールを引っぱらない

ここが一番やってしまいがちです。

ドライヤーで乾かすとき、髪を下に引っぱりながら乾かすと、その伸びた形で乾いて固まります。せっかくのカールが、自分の手で伸ばされていく。

どちらも、引っぱらないが共通の鉄則です。

美容師にどう伝えればいい?

「デジタルパーマでお願いします」と技術名で頼むより、なりたい状態と、困っていることを伝えるほうが、いい結果になります。

技術の選択は、髪を触って判断するのが美容師の仕事です。技術名を指定してしまうと、あなたの髪に合わないほうを選ばざるを得なくなることがあります。

伝えるといいのは、この4つです。

特に4つ目は、隠すと危険です。責められる話ではなく、安全に施術するために必要な情報です。

まとめ

普通のパーマ(コールド) デジタルパーマ
基本の仕組み 1剤→ロッド→2剤 1剤→ロッド→2剤(同じ)
違い 熱を使わない 途中で加温工程が入る
仕上がりの傾向 濡れるとウェーブがはっきり/乾かすと伸びやすい 乾かしても形が残りやすい
持ちの目安 2〜3ヶ月ほど 3〜6ヶ月ほど
施術時間・料金 短め・抑えめの傾向 長め・高めの傾向
負担の種類 薬剤 薬剤+熱
候補になりやすい髪 細い・柔らかい・ショート 太い・硬い・取れやすい
傷んだ髪 要相談 要相談

「デジタルのほうが新しくて良い」ではありません。基本の仕組みは同じで、熱を使うかどうかが違う。それだけの違いから、全部の性格が決まっています。

そして最後に一番大事なことを。

髪質は、太さ・硬さ・傷み・くせ・施術履歴が人それぞれに混ざっています。「細くて、でも傷んでいて、直毛」のような組み合わせは当たり前にあります。この記事のどれか一つに、きれいに当てはまる人のほうが少ないくらいです。

だから、この記事は美容師と話すための地図として使ってください。地図があれば、「なぜこの技術なのか」の説明が分かる。分かれば、納得して任せられます。

デジタルパーマもコールドパーマも、最後に結果を決めるのは、髪を見て判断できる美容師の目です。

パーマが得意な美容室は、クレールで技術から探せます。
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